前回の She Said, She Said に続きアルバム Revolver からジョンのドラッグソング
表面的にはただの寝坊助ソングなんだけど、もちろんこの頃のジョン・レノンがそんな「キテレツ大百科」の主題歌みたいな曲を書くわけはなく、明らかにLSDによるトリップ体験の隠喩としての「睡眠」だね。
この頃のビートルズはテープの逆回転や、回転速度を上げたり下げたりすることによるサウンドの変化を楽しんでいた。
この I’m Only Sleeping もリハーサルのテイクではEmキーで演奏しているけど、レコードでは半音下がってEbmになっている。
中間のギターソロはテープ逆回転による摩訶不思議なサウンド
これをレコーディングしようと思ったら、まず正常なコード進行に沿ってだいたいどういうフレーズにするか決めて、それを後ろから弾いて録音する。
それを逆回転させて曲にはめ込むわけだ。
同様に Yellow Submarineも 半音下がっているけど、これはリンゴが歌いやすいキーにする意味もあったのかもしれないね。
逆に She Said, She Said では半音上げることで、サウンドにハリを出しているんだ。
ライムの嵐
歌詞に注目してみると、これでもかというくらい韻(rhyme)を踏みまくっている。
early in the morning と I’m still yawning
middle of a dream と float up stream
wake me と shake me
I’m lazy と they’re crazy
such a speed と there’s no need
my day と miles away
staring at the ceiling と sleepy feeling
ジョンの歌詞は押韻を大切にしたものが多いけど、ここまでこだわっているのはなかなかないんじゃないかな。
幻覚剤等のドラッグは違法です
特に英語の表現として難しいものは出てこない。
内容はジョンのLSD体験の感想として、睡眠をトリップと置き換えて解釈すればいいだろう。
それはブリッジの歌詞に集約されているように思う。
Keeping an eye on the world going by my window. Taking my time.
LSDによって取り払われた既存の価値観やフィルター
物理的な意味でも精神的な意味でも、新しい自分だけの窓を通して観る外の世界を楽しんでいる・・・
国家としてはせっかく国にとって都合のいいように教育した国民が、みんながみんな独自の世界観でもって社会を観るようになってしまうのは非常に都合が悪い。
だから、どんなに体に悪くて中毒性の強いアルコールやタバコは合法でも、大麻やドラッグは違法なんです。
わかりましたか!? 違法ですよ!!
原文の歌詞はコチラ
I’m Only Sleeping
朝はよう目ぇさまして
頭を起こすけど、まだあくびが出よる
まだ夢見心地で
ベッドの中にいると、気持ちええ流れに身を任せてるみたいや
無理に起こさんとってくれや
やめてぇや、そんな揺すらんといて
そっとしといてくれへんかな
寝てるだけなんやから
みんなオレのことなまけモンやと思てるみたいやけど
気にせぇへんで、あいつらの方がオカシイんやから
さも忙しそうにあっちゃこっちゃ走り回って
そんな急ぐ必要ないって分かるまで、止まらんのやろな
充実した1日をジャマせんとってくれるかな
オレは違う世界に居て
寝てるだけなんやから
この特別な窓を通して見る世界は
実に楽しいもんやで
寝っ転がってぼーっと天井見てるとな
また眠気がおそってくるちゅうわけや
「この曲を関西弁で訳して欲しい」っていうリクエストや、訳に対する指摘、クレーム、文句も大歓迎です^^