【関西弁でビートルズ和訳】If I Fell

関西弁吹替えインタビュー

これぞビートルズ

アルバム A Hard Day’s Night をビートルズの最高傑作に挙げる人も多いだろう。

全曲レノン・マッカートニーのオリジナル曲で構成された唯一のアルバムでもある。

特にジョン・レノンの作曲、歌唱においても彼のキャリアの絶頂期ともいえるだろう。

ビートルズといえばジョンとポールの極上のハーモニー

今日はこのアルバムに収録されたボーカルハーモニーが素晴らしい If I Fell を関西弁にしてみよう。

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凝ったアレンジなど必要ない

初期ビートルズ全般を通して言えることだけど、素晴らしいメロディがあれば凝ったアレンジや間奏など必要ないということだ。

特のこの If I Fell を聴くと、歌メロとボーカルハーモニーの素晴らしさだけで曲が成立し、どうアレンジしようが名曲になってしまうんじゃないかと思うほどだ。

20代そこそこの若者が作ったとは思えないくらい作曲面では技巧が凝らされているよ。

ジョンのソロボーカルによるイントロは曲中に1度しか出てこない。

後のHelp!の冒頭も曲中に1度しか出てこない、ビートルズ特有の贅沢パターンなんだけど、この If I Fell のイントロダクションはキーも本編と異なっていて、しかもそれを感じさせないほど自然に転調している。

本編のキーはDであるが、このイントロのキーはDbと解釈した場合の2度マイナーであるEbmから歌に入るという異様さである。

コードはジョンのせつないボーカルメロディと共に下降していき、何くわぬ顔で本編のキーであるDのドミナント、A7に到達してからすんなり転調する・・・

この魔法のようなイントロ8小節から本編への入りを聴いた当時の音楽ジャーナリストは、もう何も言えなかっただろうね。

ハモリっていうか2つのボーカル

歌のハモリっていうと、メインのボーカルがあって、それに対して3度上だとかでハモるのが一般的だけど、ビートルズの場合は違う。

ボーカルが2人なのである。

ハモる度数も6度、3度、時にはユニゾンと色彩豊かで、それが同世代のロックバンドと圧倒的に異なる点だったのだ。

そしてその複雑なボーカルハーモニーによるコードにギターやベースは関与しないことも多いので、演奏のコードだけで見ると

「ビートルズの時代のコードはシンプルで簡単」

となるんだけど、ボーカルハーモニーのボイシングを見るとかなり複雑な和音構成になっているのがわかる。

例えば本編に入った2小節目の4拍目

歌詞で言うと、If I give my heart to you の to の部分は、ポールの音はB、ジョンはAbでコード的にはFのデミニッシュとなるが、ギターはそんなことはお構いなしでF#mなのだ。

こういう何気ない複雑なハーモニーがビートルズの音楽を何十年も飽きさせない理由の1つかもしれないね。

仮定法

さて、この曲の歌詞に注目してみよう。

タイトルの If I Fell…これは英文法でいうところの「仮定法過去」の見本だ。

仮定法は事実と異なることを言うときに使う言い方で、文法上の名前と内容が一致してないのでややこしく、苦手な人が多いよね。

つまり

If I fell in love with you…

の fell は fall (落ちる) の過去形だけど、意味としては

「(今は恋をしてないけど)もし恋をしたら・・・」

ということなので、過去のニュアンスは一切ない。

これは事実ではない事柄から心理的に距離があるというニュアンスなので、「恋に落ちてたら・・・」なんて過去形で訳さないように!

ちなみに過去にすでに起こった事実と違うこと、「もしあの時~だったなら・・・」って言いたい場合は、仮定法過去完了を使う

If I had fallen love with you…

そして仮定法は「もし~だったら、XXXなのにな」という風に後に続くパートがセットになってることが多い。

If I fell in love with you, would you promise to be true.

「もし君に恋をしたら、裏切らないって約束してくれるかい」

普通なら相手の意思を確認するのに

Will you promise to be true? 

というところだけど、これも仮定法過去のルールを受けて、意思を確認する助動詞 will が過去形の would になっているね。

これも現在の事実と異なる仮定、もしもの話なので if 節と同じように現在の事実から距離をとるニュアンスになっている。

英語は語順と時制にうるさい言葉だねえ。

もしも文

そしてさらに混乱するのが、仮定法ではないけど if を使った普通の

「もしも文」

もあるってこと・・・^^;

イントロが終わってヴァースの冒頭に出てくる

If I give my heart to you…I must be sure

「もし僕のハートを君に捧げたら・・・確かめておきたい」

これは give が過去形でも過去完了形でもないので、仮定法じゃないね。

でも if は「もしも~」という意味だと学校で教えられたので、日本語に訳してしまうと、仮定法と普通のもしも文の違いがわからなくなってしまう。

日本語には仮定法なんて文法はないからね。

じゃあ仮定法と普通のもしも文は何が違って、どう使い分けてるのか?

結論から言うと、話している人の気持ち次第っていうことになる(笑)

事実と異なる仮定の度合いが強いか弱いか

っていうことなんだ。

話してる人が、「まず起こりえない、あくまで仮の話なんだけど・・・」ってニュアンスの時は仮定法

じゅうぶん起こる可能性があって、もし起こったら・・・って時は普通の if 文なのだ。

ジョンの妄想ラブソング

おそらく作詞のメインはジョンだ

女性に臆病で、時にはその臆病さから必要以上に乱暴にふるまうジョンの弱さがにじみ出ている詞だね。

フラれた元カノを見返してやるっていう大人げなさも見て取れるしね^^

ぜひとも歌詞を仮定法ともしも文に注目して原文を読んでほしい。

イントロではジョンは仮定法で、あくまで2人が付き合って新しい恋が始まることは可能性の低い事として語りかけている。

しかし、ヴァースに入るとそれは仮定の話ではなく、もはや付き合う前提で普通のもしも文で話を進める(笑)

そして、コーラス(サビ)で再び仮定法が登場するんだけど、新しい恋が終わるっていうところを仮定法で表現しているではないか!

仮定の話だったはずの「新しい恋」が終わることが、可能性の少ないことにすり替わってしまってるじゃないか!

これはもうストーカーの妄想心理に近い(笑)

そして最後はもう一度、仮定法のタイトルで結ばれている。

「(まあないけど)もし付き合ったらね」

英語のようにはっきりとした「仮定法」という言葉を持たない僕たち日本人が日本語訳でこの曲を読んでも、絶対に知りえないジョンの子供っぽい一面があふれたラブソングなのだ。

ジョンによるホームデモ音源

恋に臆病な男の悲哀で涙が出そうになるくらい悲しい歌声だ

原文の歌詞はコチラ

If I Fell

もしお前とつきおうたら
ウソついたり浮気せぇへんって約束してくれるか?
それを信じさせてほしいんや
こんなん初めてやないし
恋が手を握るだけやないっちゅうのもわかってるで

俺の心をおまえに捧げることになったら
まず初めに確かめときたいんやけど
前の彼女よりも愛してくれるやろか

おまえのことを信じるから、ホンマに
逃げたり隠れたりせんとってくれ
オレもおまえのことを愛するから
あいつみたいにオレのプライドを傷つけんといてな

そんなことにはもう耐えられへんわ
万が一新しい恋も終わってもうたら、悲しすぎるわ

せやから、オレのこの大好きやっちゅう気持ち
わかって欲しいわ
あいつ泣きよるんちゃうかな
オレらがつきおうてるって知ったら
ま、もしつきおうたらの話やけどな

「この曲を関西弁で訳して欲しい」っていうリクエストや、訳に対する指摘、クレーム、文句も大歓迎です^^

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