それまでのロックの常識を完全に覆した魔法のようなアルバム、Revolverを完成させ、ライブ活動を中止したビートルズはしばしの休息の後、再びスタジオに入った。
奇しくもジョンとポールはそれぞれ地元リヴァプールを題材に曲を書き、スタジオに持ってきたのだった。
それが古今無双の両A面シングルレコード、Strawberry Fields Forever/Penny Laneである。
現在ではアメリカ編集版アルバムであるマジカル・ミステリー・ツアーに収められている。
難航を極めたレコーディング
この曲はブートレッグやYoutubeの音源でも聴けるように様々なテイクが存在するが、
ジョンの弾き語りデモバージョンの時点からすでに名曲のニオイがぷんぷんしているよね。
しかし自分の欲しいサウンドをちゃんと言葉にして伝えられるポールと違い、ジョンの頭の中のイメージはなかなか再現されなかったのだろう。
レコーディング、アレンジはかなり難航したようだ。
ジョージマーチンですら、最初にジョンがアコギで弾き語ったものが最高の出来だったと語るように、当時のビートルズですらこのジョンの名曲を完成させることはできなかったのだろう。
最終的にはギターのアルペジオが印象的で静かな雰囲気のテイク7とトランペットやチェロがけたたましく咆哮するテイク26がジョンのお気に召したようで
「どっちも捨てがたいな、いっそ両方合わせてくっつけようや」とジョン
「テンポもキーも違うし、そんなん無茶やで」とジョージ・マーティン
「いやいや、あんたやったらできる! じゃ、オレは帰るからあとはうまいことやっといてな!」
とこのようなジョンの一方的で無責任な会話がなされて(笑)マーチン曰く神の御心により奇跡的に2つのテイクはうまく繋がったとのこと。
マーチンはジョンの無茶振りを叶えるため腐心し、前半のテイク7を徐々にテープの回転を早め、テイク26の回転を遅くすることで、なんとか違和感なく繋がることを発見した。
テープ回転速度調整のせいで、つなぎ目の前後でジョンの声質が変わっているのがわかるね。
2回目のLet me take you down ‘cause I’m (ここがつなぎ目) going to
印象派と写実派
ストロベリーとペニーレインは同じ故郷を題材にしているが、詞もサウンドも全く対象的な2曲となっている。
心象風景とも言えるとらえどころのない詞、躁うつ病的サウンド、本当にどこかへ連れ去ってしまわれそうになるジョンのヴォーカル・・・
絵画で言うならルノアールやモネのような印象派の作品がストロベリーだとしたら、街角の風景や人々を描いたペニーレインは写実派という感じだろうか。
ストロベリーには you knowや I think, I mean のような会話では頻発するけど詞にはあまり使わない、言いよどみのような言葉があえてたくさん出てくる。
その表現がほんとうにジョンが語り、諭されて夢の世界へ連れていかれる、ちょっと恐怖にも近い感情を起こさせる。
それが関西弁の訳でうまく訳せるか・・・
原文の歌詞はコチラ
Strawberry Fields Forever
オレと一緒に行こうや、どこってストロベリーフィールズやん
そこには現実世界の問題とか、うっとうしい事なんてなんもないんやで
ストロベリーフィールズはオレだけの世界
現実から目ぇそらして生きれたらラクなもんや
全部自分のいいように解釈するわけやしな
この世界でいっちょ前の人間になるんはカンタンやないけど それでもなんとかなるもんや
はっきり言うて、オレにはそんなことどうでもええねん
オレと一緒に行こうや、どこってストロベリーフィールズやん
そこには現実世界の問題とか、うっとうしい事なんてなんもないんやで
ストロベリーフィールズはずっと変わらん世界
オレの木には他に誰も住んどらんみたいやな
木が高すぎるんか、低すぎるんかは知らんけど
つまりや、波長が合わせられへんってことかもな
まあでもそれでもええ、べつに悪いことじゃないんやで
オレと一緒に行こうや、どこってストロベリーフィールズやん
そこには現実世界の問題とか、うっとうしい事なんてなんもないんやで
ストロベリーフィールズはオレだけの世界
いっつも、いや時々、そういう事全て含めて自分なんやと思う
現実やろうが夢やろうが関係なしにやで
noって口では言いながら心はYesみたいな・・・そんなん絶対おかしいやん
ほんま、そんなことオレは納得いかんわ
オレと一緒に行こうや、どこってストロベリーフィールズやん
そこには現実世界の問題とか、うっとうしい事なんてなんもないんやで
ストロベリーフィールズはオレだけの世界
ストロベリーフィールズはずっと変わらん世界
ストロベリーフィールズは永遠の世界
「この曲を関西弁で訳して欲しい」っていうリクエストや、訳に対する指摘、クレーム、文句も大歓迎です^^