ビートルズの実質ラストアルバムとされているアルバム「アビーロード」
でも実際はこの後も「レットイットビー」に収録されている曲はジョン抜きでレコーディングされたりしているから、今はやっぱり「レットイットビー」がラストアルバムってことになっている。
まあアルバムの評価からして、アビーロードで有終の美を飾ったってことにしておきたいファンも多いみたいだけどね(The Endって曲もあることだし)
ぼく個人的にはあまり聴く頻度の高いアルバムじゃあないんだけど
レコーディングのコンソールが真空管からトランジスタに変わったってこともあるかもしれない
それまでのアルバムより冷たい印象を受けてしまうんだ
とはいえ、初めてシンセサイザーを導入したり、ジョージの曲も素晴らしかったり、相変わらずジョンはロックンローラーだったり・・・素晴らしいアルバムであることは言うを待たない
この傑作アルバムの中でもあまり取りざたされることの少ない曲
ポールの Maxwell’s Silver Hammer を関西弁にしてみよう
詞と曲のアンバランス
物語風の曲はポールの得意とするところだけど、この曲はちょっとおかしい
物語の内容と曲調があまりにアンバランスだからだ(わざとそうしたんだろうけど)
物語はマックスウェルという殺人鬼が次々と関係者を殺害していく話
曲は全くサスペンスな要素はなくて、ほのぼのとしている
曲中でもポールは歌いながら吹き出したりと、コンプライアンス馬鹿の今の日本ではNGとされかねない不謹慎な内容だ(笑)
なにせ学校の先生や裁判官まで殺されるからね
そういえば映画「レットイットビー」の中でこの曲のリハーサルシーンがあって
ローディーのマル・エバンスが実際にトンカチで床を叩いて音を出している場面があるけど
こんな簡単なことでさえリズムを微妙に外しているマルがとても可愛いのである^^
翻訳のポイント
ヴァース(Aメロ)のラインは意味よりも韻を踏むことにポールは執心していて、人名なんかも後のラインの言葉に合わせている
例えば
quizzical と pataphysical (クィジカルとパタフィジカル)
Maxwell Edison と medicine (エディスンとメディスン)
thirty-one と dirty one (サーティワンとダーティワン)
のように意味的には必然性はないけど、聴いていて気持ちいいくらい韻を踏んでいるね
わかりにくい言葉としては
quizzical
これはいぶかしげな表情、とか不審そうな・・・って意味もある
ここでは
Joan was quizzical
だから、ジョーンという女の子の人柄全体を表現したものとして訳したよ
英単語で ‘Q’ で始まる単語は、謎とか不思議、わからないものを表す言葉のことが多いね
スペイン語とかイタリア語等ラテン系の言葉の疑問詞が Q の付く語が多いからかもしれない
pataphysical
これはフランスの、アルフレッド・ジャリって作家の造語らしいので普通の人は知らない言葉だね
空想科学といううさんくさいモノらしい
P.C thirty-one
P.C はイギリスの警察の階級を表す言葉で、police constable の略
一番階級の低い男性の巡査ということだ
31番ってことに特に意味はなく、後の dirty one と韻を踏むためだけに設定された番号だ(笑)
さて、裁判中にみんなの前で裁判官まで撲殺してしまったマックスウェルはどうなるのだろう?
ビートルズが解散にまっしぐらに向かう中、もはやそんなことはどうでもいいのである
原文の歌詞はコチラ
Maxwell’s Silver Hammer
ジョーンって子はちょっとフシギちゃんで
空想科学なんてわけのわからんもんを家で勉強しとったんや
昨日の夜も一人っきりで試験管なんか持ちだしてな
マックスウェル・エジソンは薬学専攻の学生
ある日マックスウェルはジョーンに電話して
「ジョーン、今から映画観にいけへん?」
でもジョーン出かける準備がでけた時に
ドアをノックする音が・・・
ガン!ガン!
マックスウェルの銀のトンカチがジョーンの頭に振り下ろされたんや
確実に殺るためにな
マックスウェルはまた学校に戻って
いつものようにふざけたり、おどけたり
先生はイライラし始めたんや
先生としては授業が妨害されんのは困るし
「マックス、授業が終わったらちょっと残りなさい」
ちゅうことで居残りや
ほんで「もうしません」って50回書かされたんや(爆)
でも先生が背を向けた時に、マックスウェルはそーっと忍び寄って・・・
ガン!ガン!
マックスウェルの銀のトンカチが先生の頭に振り下ろされたんや
確実に殺るためにな
巡査(登録番号31)は
「クソ野郎をひっ捕まえたで!」
マックスウェルは法廷に立たされて
事件再現の絵を書かされとった
ローズとバレリーは傍聴席から
「ねえ!マックスは無実よ!」(そうマックスは釈放されるべきや)
でも裁判官は首を縦にふらんかった
判決が裁判官の口から出るその瞬間や
背後からなんや物音が・・・
ガン!ガン!
マックスウェルの銀のトンカチが裁判官の頭に振り下ろされたんや
確実に裁判官を殺るためにな
おーおー恐ろしや
マックスウェルの銀のトンカチ!
「この曲を関西弁で訳して欲しい」っていうリクエストや、訳に対する指摘、クレーム、文句も大歓迎です^^